キャンプ参加メンバー

礒﨑未菜いそざき みな

1992年生まれ。昭和63年に街びらきされた初期の多摩ニュータウンの、山を囲った円形の団地で幼い頃を過ごす。姉がふたり。東京芸大先端芸術表現専攻修士1年。最近の興味のひとつは、目に見えない、名前のない感覚や関係の表出について。"じかの分離"と呼んでいる、二つの関係の、イメージが変化するわけではないが、たとえば温度や速度のような、地面の下の感覚のみが剥離したような現象のことで、なにか親密さのようなものを伴っているのではないかと考えている。東北へは東日本大震災後はじめて訪れました。それ以前の暮らしや風景を、わたしは見ることがありませんでした。この滞在を通して、ひょっとした拍子になにかの端と端がふいに触れて、その人やその生活を、知ることができるかもしれないと思っています。そしてそれは、わたしにとっても、大切なものであるのではないか、という予感を持っています。

井上亜美いのうえ あみ

1991年生まれ、宮城県丸森町で育つ。東京藝術大学大学院映像研究科修士課程修了。在学中に狩猟をはじめる。猟師として生活する傍ら、狩猟の現場でつぎつぎに起こる出来事をエスノグラフィックな視点で見つめ、自身が出演・演出する手法で映像作品を制作している。作品に、都会で暮らす猟師の奇妙な生活を描いた「猟師の生活(2016)」、震災後に猟をやめた祖父を追った「じいちゃんとわたしの共通言語(2016)」などがある。2016年4月より第5期HAPSスタジオ使用者として京都市在住。 本プログラムでは、フィールドワークを中心に震災以降の東北の狩猟についてリサーチをおこない、参加者と問題を共有することで思いがけない発見があることを期待している。 http://amiinoue.com

岩崎孝正Takamasa Iwasaki

1985年福島県相馬市磯部生まれ。映像作家。自然災害と原発事故の諸問題を、映像(映画)というメディアをあつかいながら思考し、発信する。また、地域(地方)と人間がどのように関わるのかをテーマに映像を随時発表予定。MEC Award2015で「福島の光景+α(2014)」が佳作賞受賞。山形国際ドキュメンタリー映画祭2015 Cinema With Us、ポーランドEEC、ニッポンコネクション2016で「自然と兆候/4つの詩から」を展示・上映。現在、長編映画の企画のリサーチ中。今後、活動していくために縦横のつながりが必要と感じたため、みちのくアート巡礼キャンプ2016に参加。 http://natureanditsmanifestations.co/

尾花藍子Aiko Obana

美大絵画学科卒業後、身体を使った行為表現を路上で始める。美術・プロジェクト作品発表を経て、近年はパフォーミングアーツディレクターとの出会いから、振付家・演出家として活動。人間の根源は『境界』があることなのではないかと考え、『身体』という境界を入り口にして、自己と他者、その関わりについて舞台作品を創作。本プログラムでは、母が福島出身、父が東京出身の自分が、活動拠点である東京を離れて、現在の東北に触れることで立ち現れるものを具現化するため、人や場との対話を通して表現方法から探りたいと考えている。ダンスカンパニー<ときかたち>主宰。シェアハウス&スタジオ<LAB83>経営。若手演出家コンクール2014ノミネート、横浜ダンスコレクション2016コンペティションⅠファイナリスト。
http://apiece7.blogspot.com

河野輝美Terumi Kono

1986年神奈川県生まれ。アーティスト。東京造形大学美術学科卒業。体験を元に、映像やテキストなどを組み合わせたインスタレーション作品を展開している。旅行先でチェーン店を見つけた時、見知った場所に抱く安心感と、旅先でもまたコレかとうんざりする気持ち。そのような二つの相反する感情の中間地点に興味がある。展示として、髪の毛への極端な感情の変化をモチーフの一つにした「The Monument of TRIAL AND ERROR 」(2015年)など。 考えないようにしていたことが徐々に無意識になるように、東北地方への記憶や反応も時間の経過とともに変化している。それに驚き、記憶の形の変化について考えたいと思った。様々な形のリサーチを通して、作品の起点とする方法を得たい。http://trmkn.tumblr.com

佐竹真紀子Makiko Satake

1991年、宮城県生まれ。美術家。武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻修了。震災以後の日常に向けたリアクションとしての表現活動を思考している。2015年には自作のオブジェ「偽バス停/深沼」を、震災後路線バスの復旧のめどが立たない仙台市若林区荒浜に無許可で設置。現在は宮城に在住し、荒浜で開催されている「お茶っこのみ」の臨時アルバイトをしながら、偽バス停の観察を継続している。主な作品に、被災地の風景を個人の視点で再構成した「あの町の行方」、ゲリラ行為を記録した「この町から問いかけて」などがある。今回のプログラムは、東北に対する認識のちがいを捉え直し、表現の可能性を探る機会と考えて参加。

佐藤駿Shun Sato

1990年生、愛知県出身。横浜国立大学大学院都市イノベーション学府 Y-GSC 在籍中。芸術公社インターン。大学在学中より自主映画の監督・撮影・出演などを始める。撮影を担当した隈元博樹監督『Sugar Baby』(2010)が、水戸短編映像祭審査員奨励賞受賞、国内外の映画祭にて上映。現在は、演劇の出演や創作を行っている。東京湾に浮かぶパーキングエリア「海ほたる」をリサーチし、それを物語化した『サービスエリア』(@イズモギャラリー、2016/7/30-31)が近作。本プログラムでは、参加者を撮影したりインタビューしたりすることから始め、後半までにリサーチするフィールドを決めたいと思っている。 パフォーマンス創作団体として「犬など」を主宰。http://inunado.wix.com/inunado

中村大地Daichi Nakamura

1991年、東京都足立区生まれ、府中市に育つ。現在は宮城県仙台市に在住し、自身が主宰する屋根裏ハイツという劇団で演出を務める。その演出作品は、起承転結のある大きな虚構の物語世界を描くことよりも、その場その瞬間に起こる行為、現象そのものにフォーカスが向けられている。現在は、近作『再開』で民話における伝承行為をテーマに作品を創作したことを契機に、演劇の技術が記録する、受け継ぐという行為にどのように寄与できるのかということに関心を持ち、創作を展開している。本プログラムでは、東北の町々を旅していく中で、今後30年、50年というスパンで何を残すことができるのか、何が残っていくのかという個人的な関心に対して、舞台表現の技術が一体何を為せるのかを思考する時間を過ごしたい。2015年よりARCT理事。 屋根裏ハイツHP http://yaneuraheights.wix.com/home

西岡 航Wataru Nishioka

1993年、東京都福生市生まれ。奈良育ち。立教大学大学院現代心理学研究科映像身体学専攻修士1年在籍。大学院では、主にアンリ・ベルクソンと写真家牛腸茂雄を手がかりに、写真機という機械知覚、眼という人間知覚のそれぞれの特性と本質を研究。また幼少期から法隆寺や大和文化を生きているものそのままに触れ続け、その影響で「祈り」や「潜在」といった目には見えない<体温の在る記憶>を主題として写真作品を制作。撮影ではフィルムを使い、被写体との調和を目指す。学部生時代の卒業制作では、明治期の詩人中勘助の小説『銀の匙』を、写真によって再表現。その結果、人の産みだす言葉のなかには写真の種(あるいは芽)のような存在がある、と感じるようになる。 3・11後でも変わらない何かを東北の中から見出すため、本プログラムに参加。

野口竜平Tappei Noguchi

1992年うまれ。アーティスト・パンケキ侍の頭領・モーメント小平メンバー 武蔵野美術大学油絵学科版画専攻卒。 “距離と時間に対する人間の憧れ”“マレビト・ハレ・芸術の同時空間性”をテーマに掲げ、「ニューヨーク方面へヒッチハイク」「タイヤを一ヶ月間引っ張りつづける」「東京都から香川県まで改造リアカーを引っ張ってあるく(お金を持たずに出発☆)2016春」などポップな作品を数多く発表する。超感覚パフォーマンス集団【パンケキ侍】の頭領、よそのもアート会【モーメント小平】のメンバーもつとめる。 近年は、パフォーマンス作品やプロジェクト作品の発表・記録方法に関して問題意識をもっており、日本型地方芸術祭の新たな評価軸の提案をめざし活動中。 一番おおきい夢は自転車で世界を3周すること(29歳で出発予定)。 http://mukadematuri.jimdo.com

水沼大地Daichi Mizunuma

1995年生まれ。福島県天栄村出身。立教大学現代心理学部映像身体学科3年。 大学1年の時、高山明氏の演劇の授業を受講。それまでのイメージと全く違う“演劇”に出会い、その意味の分からなさから興味を持ち、現在は演劇プロデュースを学んでいる。学外では芸術公社のインターンとして活動中。 演劇が社会に応答して、社会にどれほど有益なことができるのか、その可能性を半分信じて半分疑いながら、勉学やその他の活動に励む。 震災後も3年間福島で高校生活を送ったが、どこか他人事のような感覚があり、今後故郷である福島とどう向き合っていくのか模索中。また、「震災を忘れない」という謳い文句に違和感を持ち、一生震災を忘れちゃいけないのか、忘れることが癒しになるのではないかと反抗心を燃やす。 みちのくアート巡礼キャンプでは、将来のビジョンも含めて、故郷と向き合う機会にしたい。