2015年参加者からのメッセージ

ヨル' 犬舞台作家/犬企画者/犬研究家

自己破壊と再構築の積み重ね、まさに自分という犬のしつけ直しの日々、それが『みちのくアート巡礼キャンプ2015』。 自己を構成している「犬」という大切な記号を見失うまで追い込まれた。 しかし、そんな月日があったからこそ、現在のこれまで以上に深化した犬との日々がある。 棒にあたることが、若い犬には何よりも大切なのだと、今思う。 そんな棒がここにはあるわけで。 是非。

斧澤未知子 編集者、造本デザイナー、表現者

去年の「みちのく」二日目の終わりにはもう、大変だ!という気持ちでした。興奮よりも落ち込みで、承知していた先生方の凄さと同時に参加者皆の考えの強度に、自分の「何となく上手くやれる」軽薄さが突き刺さって感じられました。それでもその軽薄さを咀嚼し自分の表現を考えもがいて最後に形にできたプランは私の「作る人」としての時間を確実に動かしたし、何よりその恐るべき人々と過ごしたあまりに厳しく楽しく濃かった一ヶ月は今でも私の背筋を伸ばさせています。

清水 翼 劇団維新派 制作

故郷・塩竈市を離れて15年以上。この『みちのくアート巡礼』は、2011年のあの日から、故郷に対して感じている、見えない壁とモヤモヤ感を解消するための良いきっかけだと思った。8月は自分の仕事もしながらだったので、もし参加できても、タフでヘビーな1か月になることはわかっていたけど、これに参加しないと、これからも家族や友達とちゃんと向き合えないなとも思っていた。終わってみると、自分の今後の人生も変わっていた。

高橋創一 編集者/ライター

一カ月のあいだ、他ジャンル/多ジャンルの表象・思考・言語と共に、「東北」「みちのく」に身をやつして向き合い、その中に潜ってひとつのプランへと結んでいく。去年の八月はそのように過ぎていき、喜多方市で古い民家に泊まり、お祭りを見て、三春町でダムカレーを食べ、フィールドワークで女川原子力発電所PRセンターに行き、プランを発表直前までこねくりまわして、でも軸だけは見えたような気がした、その一部始終が「東北」「みちのく」だった。

二宮彩乃 コモン・クリエイティブ・ディレクター

昨年夏に参加した。暑かった。偶々集まった個性的なメンバーとの合宿、講師の方々のレクチャー、そこで交わされる言葉たち、やりとり。東北の記憶。311の記憶。それからとこれから。現在のこと。私の視座の起点を得るべく遮二無二飛びこんだ。おかげで散々揺すぶられたがおかげ様でようやっと結実したことも沢山ある。猛き夏ならではの、生命力ムンムンの東北の山々の若葉の記憶と一緒くたになって、かなり濃い夏だった。

久松知子 東北芸術工科大学修士課程日本画領域在籍

ワークショップで得たものは、受講生、講師、スタッフの皆さんとの出会いが最も大きいように思います。「みちのくアート巡礼キャンプ」という枠組みが無ければ出会うことは無かったであろう人々と、表現についての思考を共有していく特殊な1ヶ月でした。作品プランの段階で煮詰めて発表するというのも初めての体験でした。写真、映像、演劇など、異分野のメンバーによってプランを練る場は、大学のように領域ごとに学ぶ場とは違う感覚で刺激に富んでいました。

福田龍郎 アーティスト

「第1回みちのくアート巡礼」に参加する前、これが大切な機会になるかもしれないという予感がした。福島と宮城でスタッフや参加者と寝食を共にし、講師の方々による4日連続のレクチャーと2日のワークショップがあった。1ヶ月で3回のプレゼンテーションを経て、プランを深めることができた。ひとりで制作していても得られなかったであろう多くのアイデアや気づき、視点、課題、励ましやつながりを手にした、豊かで密な日々だった。

三上 亮 アーティスト

旅の最中に自分の問題意識に引きつけながら尚且つ新たらしい視点を見つけて作品化・企画化するという作業はなかなか大変なものでした。が、「作品制作/企画制作」ということを名目に経験豊富、知識豊富な講師陣、さまざまなバックグラウンドをもった参加者たちと真剣に話ができた時間はとても濃密なものでした。講義やプレゼンテーションのプログラムだけで1日が終わるのではなく、その後も夜な夜な皆が自然と集まり議論を重ねていく、冗談と真剣な話が飛び交う。「みちのくアート巡礼キャンプ」はそういう貴重な経験が出来た旅でした。