2016-Aug-28 宮城県塩竈市


 最終プレゼンテーション/講評、2日目は礒﨑未菜さんの発表からスタート。うたうこととは、目の前の現実からリズムを伴って逃れることではないか。そのような問いから発表した企画は「新・民謡道五十三次」と題された、土地に出向き、その土地で句会を行い、そこから選句された句をあつめ、新しい民謡をつくり、ライブで唄うというものです。これを53カ所で繰り返し、3年でひとつのアルバムをつくりたいと説明しました。

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 岩崎孝正さんは、相馬野馬追いのアーカイブを行う「そうそうアートアーカイブフレームワーク」という企画(発表媒体)と、「かつて  があった場所で(仮)」という、一次産業に携わる人や収穫物を取材・撮影した5面ならなる映像インスタレーション作品を構想しました。「目的は告発や企業批判ではありません。四大公害の被害を受けた町は、風評被害や環境汚染をいかに克服したのか、それを知ることが福島の未来を考えるうえで必要ではないかと思います」といいます。

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 東北での強烈な身体感覚として残った体験を「人が思い出の場所で、かつてそこに起こったこと、あったことを語ってもらっている姿との時間の共有」だと言う尾花藍子さんは、初日に言葉のない対話を行い、2日目に言葉のある対話をする、2日間のワークショップ「言葉のない/ある対話に出会う旅」を発表しました。「この一カ月間東北にいたことが、今後どのような舞台作品をつくっていくか、得たことを熟成させていきたいです」と話を締めました。

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 「旅というのは習慣を壊すことであり、そのために目的地・移動がある。今回、東北に来たのは制作のヒントを求めてのことで、旅という概念がなかった」といい、実際に東北に来ても、ほとんどの時間をチェーン系カフェで過ごしていたという河野輝美さん。発表した「You Know Where This Is」では、全国どこにでもあるチェーン系カフェであえて観光地の身振りをすることで、均一的な街やそれを支えるしくみをあぶり出そうとします。

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 最後の発表者は佐藤駿さん。合宿ワークショップ中、陸前高田市の畠山氏のご自宅跡で経験した、身振りと言葉でかつてあった場所を立ち上げていくことへの感動を、フリースタイルのラップと接続。引用が引用を呼ぶ場であるサイファーを据えて発表した『「ラップ現象」―風景に声を上/下書きする方法として―」では、ラッパーへのインタビュー、実際のラップ、YouTubeへのアップなどを通し、現在の風景に過去の風景を貼り付けることをねらいます。

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 昨日に引き続き、講師との応答も白熱。議論がヒートアップするなか、ときに笑いがあふれることも。講師からの鋭い指摘やプランとしての完成度への問いなどを受け、発表者自身が再度自身の問題意識を言葉にしようとする緊張感のある場面も見られました。

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 全員の発表後、講師全員からの総評を受け、最終プレゼンテーション/講評は終了。そして短くも濃厚な一カ月間のワークショップも幕を下ろしました。参加者はこの夏に東北の地で得たことを持ち帰り、プランの実現へと粘り強く活動していくことでしょう。みちのくアート巡礼キャンプは、ある意味では、これからが本番です。ぜひ引き続きご注目ください。
 そして素晴らしい講師陣のみなさま、各地でお世話になった方々、成果発表に来ていただいた皆さま、本当にありがとうございました!

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